キャップストーン演習 — 自分だけのワークフローを設計する
これまで学んだ概念(第2章・第3章)とツール(第4章)、組織運営の感覚(第7章)、ワークスペース構造(第5章・第8章)を一つにまとめ、ごく小さな規模でも最初から最後まで自分自身で設計・実行する最後の演習である。正解は一つではない。本章は「何を作るか」ではなく、「どの順序で決めれば漏れなく作れるか」をガイドする。
- 自分が実際に繰り返している作業を一つ選び、ミニ・マルチエージェントチームの問題として再定義する
- サブエージェントを作る前に、ガードレール(権限・承認ゲート)を決める
- オーケストレーター・スペシャリスト・ハンドオフ契約を実際のファイルとして実装する
- 結果を検証し、計画と何が違っていたかを振り返る
この演習の目標
第4章§2ではあらかじめ決められたシナリオ(reviewer、writer)に沿って進め、第11章では決められたdomain(co-retail)でバリアント(variant)を作った。今回はシナリオもdomainも自分で決める。規模は小さくてもよい。実際に毎週繰り返している5分程度の雑務が一つあれば十分である。重要なのは、「この決定をなぜこの順序で下したのか」を自分自身で説明できるようになることである。
ステップ1 — 問題定義とチーム設計
最近繰り返し行っている作業を一つ思い浮かべる。例:「毎週議事録を読んでアクションアイテムだけ抜き出して整理する」「新しいブログ記事の下書きを書いてトーンを確認する」「PR説明を書いてチェックリストに漏れがないか確認する」。
コンテキスト過負荷か(複数の段階が一つのセッションで処理され混ざるか)、役割の衝突か(作成者が自分の成果物を自ら検証しなければならないか)、並列性の欠如か(独立した下位タスクが複数あるか)? この答えが第1章§3のチーム構成を決定する。
第1章§3~§4bを参考に最小構成を描いてみる。スペシャリストが一人だけでも構わない。オーケストレーター(メインセッション)とスペシャリスト(サブエージェント)一人だけでもチームである。各スペシャリストの入力と出力を一文で書き留める(「このエージェントはXを受け取ってYを出す」)。
ステップ2 — ガードレールを先に決める
第3章の原則どおり、サブエージェントを実際に作る前に権限から決める。以下の表を埋めてみる。
人の確認なしに絶対に実行されてはならない作業はあるか?(第3章の「破壊的・外部影響」段階に該当するもの。例:実際の送信、実際のコミット)
失敗した場合、再試行するのか、ロールバックするのか、人に引き渡すのか?(第2章§4の再試行・ロールバック・エスカレーション基準を参照)
この3つの質問への答えが、そのままサブエージェントのfrontmatterのtoolsフィールドと、オーケストレーターに指示する際に入れる「ここまでで止まる」という文言になる。
ステップ3 — サブエージェント定義とワークフロー実装
第4章§2の演習で行ったのと同じ方法で、Claude Desktop App(またはCode)にチャットで直接サブエージェントを作ってほしいと依頼する。以下は埋め込む空のテンプレートである。角括弧の部分を自分の答えに置き換えてチャット欄に貼り付ける。
agy)ユーザーも同じ4ステップの構造で演習できる。ただしサブエージェント定義は.claude/agents/ではなくAGENTS.mdに記述し、Claudeのagentツールの代わりに/goalコマンドで役割ごとの作業を割り当てればよい。[役割名]という名前のサブエージェントを.claude/agents/[役割名].mdに作って。 [このエージェントが行うことを一文で]。toolsは[ステップ2で決めた最小権限]のみを許可し、 modelは[第1章・第5章で学んだ基準で選んだティア]に設定して。
スペシャリストが二人以上いる場合は、D-1シナリオのようにそれぞれ作成した後、最後に「二つの段階を順番に進めて」または「同時に進めて」のようにオーケストレーション方式を明示的に指示する。どちらを選んだか、そして第1章§4bで学んだように、この選択がリクエストの依存関係によって変わることを自分で確認する。
ステップ4 — 検証と振り返り
実際に一度実行してみた後、以下の質問に答えてみる。
- 結果は期待した形式(ハンドオフ契約)どおりに出てきたか? そうでなければ、サブエージェントの
descriptionが曖昧だったのではないか? - ステップ2で決めたガードレールは実際に守られたか? もしかして
toolsを必要以上に広く与えた箇所はないか? - このワークフローを定期的に繰り返す必要があるなら、第11章で学んだように、後でvariantや再利用可能なスキルに昇格させる価値があるか?
完了チェックリスト
修了後の次のステップ
このハンドブックはここで終わるが、実際の適用はこれからが本番である。今日設計したワークフローを実際の業務に適用してみると、次の3つの方向のいずれかへ自然につながっていく。